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[18] 2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/10(月) 23:30 [ 返信 ]
2017年度に出版された本の感想を書いていってください。

[19] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/10(月) 23:32
『明治乙女物語』(滝沢志郎)
今年の松本清張賞受賞作ということで、店先でふっと見かけたので購入。
明治の高等師範学校に通う女学生を描いた作品という前評判を聞いていて非常に楽しみで、高等師範学校女子部を舞台にした少女たちの青春小説――なのかと思って読んでいたら、次から次へと実在人物が登場し、その実在人物たちが虚構の物語と大テーマを織り上げるという、良い方に予想外な新人離れした作品。
高等師範学校で学ぶ少女たちが鮮明に描かれていて見事。どう読んでも嫌いになれないように描かれている。
森有礼を中心人物に持ってきた小説というのも珍しい。明治の風俗描写も丁寧で好感が持てます。


[20] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/10(月) 23:49
『Y駅発深夜バス』(青木知己)
表題作「Y駅発深夜バス」は著者の初めてのミステリ。運行していないはずのバスに載り、主人公が摩訶不思議な光景に遭遇する。

「猫矢来」は女子中学生が主人公の物語。ちょっととぼけたユーモアがありつつ、一方では主人公の身に明らかに不穏なことが迫っている雰囲気で、しかし具体的にはなにが進行しているのかよくわからない、というミステリです。なにが起きているのか、推測しながら読み進めてみてください。

「ミッシング・リング」は、指輪を盗んだ犯人を当てる〈読者への挑戦〉つきミステリです。難度はそれほど高くなく、推理しようとすれば当てられるようになっているのでぜひ挑戦を。犯人指摘に関係ない伏線が律義にはられているのが好き。「犯人はAだ」と指摘するだけでなく、「A以外が犯人でないのはどうしてか」がしっかり描かれているのも◎

「九人病」は、最も印象に強く残った作品で、収録作の中で一番読んでもらいたい短編。「怪奇小説と謎解きの融合」と一口に行ってしまえばそれまでですが、非常に技巧的に優れていて、いつ読んでも「ああ、うまいなあ」と思ってしまう。

五編目「特急富士」は「特急夕月」(夏樹静子)へのオマージュ。死体をめぐってふたりの男が右往左往する、ブラックなユーモアのきいた作品。ラストが鮮やかに決まっていて、単なるオマージュにとどまらない著者の渾身の一作。


[21] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/10(月) 23:58
『最愛の子ども』(松浦理英子)

一番最初から会話文が抜群に素晴らしすぎて、序盤から傑作確定。“家族”をめぐる“わたしたち”の妄想は物語となり、やがて何物にも替え難い伝承へと昇華する。三人の女子高生の関係性についてのお話であることは勿論、コミュニティのなかで物語を大切に育んできた“わたしたち”の愛の物語でもある。


[22] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/11(火) 00:05
『鎌倉香房メモリーズ5』(阿部暁子)
<鎌倉香房>シリーズの最終巻。大団円でとてもよい。第一話からすでに素晴らしい。読み終わった後に表紙を読むとさらに幸せになれる。シリーズを重ねて行くたびにどんどん作者の技術がうまくなっていくのが分かって本当に良かったと思える。
香道の手順がすごくきちんと描かれていて勉強になります。

「縁側からさしこむ、春の明るい予感に満ちた陽光が板敷きの廊下を照らしていた」
「遠くに海が見える窓からあたたかい午後の光がさしこんで、わたしは目を細めた。ああ、春だ」
「まだにぎやかな街の上空で、潮がひいていくように昼の気配が薄れ、青い夜が広がる。紫陽花のような青紫色の空を、金色をおびたクジラのような大きな雲が渡っていく」
という描写からも分かる通り、風景描写がとても上手い。朝井リョウや梓崎優と匹敵するほどの風景描写の名手。


[23] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/11(火) 00:14
『エプロン男子 今晩、出張シェフがうかがいます』(山本瑤)
予想以上に良い作品。イケメンシェフが登場するだけの作品かと思いきや、疲れ果てた女性たちが次第に自分を取り戻していく過程をしっかり描いた良作で、設定に非現実的なところもあるけどそれも上手く活かされている。勿論料理が登場するんだけど、その料理がちゃんとストーリーにしっかり関わってきて単なるグルメ小説に終わっていない。だからこそ面白い。
二部構成だけど特に良いと思ったのが第二部の主婦の話。続編が出たらぜひ買いたい。
しっかり自分の部屋を整理してご飯をちゃんと食べましょう。


[24] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/07/11(火) 00:19
『あとは野となれ大和撫子』(宮内悠介)
「ヨハネスブルグの天使たち」の続きが読みたいな〜と思っていたらその願望を保管してくれたような作品。宮内先生の特徴がうまく生かされていて、所謂"この作者にしか描けない"という表現がぴったりな作品だと思います。表紙や装丁もいい。


[30] RE:2017年新刊感想 Name:I藤 Date:2017/08/10(木) 15:27
早坂吝の『ドローン探偵と世界の終わりの館』読み終わりました。
読み終わった直後は微妙な気がしましたが、トリックはなかなか大掛かりで悪くは無いんじゃないでしょうか。
ドローンを使った視点が巧妙です。しかし、用いられ方が地味です。
読者が推理できるかは微妙。軍配はやはり『双蛇密室』にあがります。

[46] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/08/29(火) 02:05
『黄泉がえりの町で、君と』(雪富千晶紀)
箸休めのつもりでぱらぱらしてたら続きが気になって一気に読んでしまった。
ミステリ的な書き方をしたホラー小説で、かつ青春小説の甘酸っぱさも含んでいる。この辺のジャンルがごちゃっとしているのに否定的な人もいるかもしれないけど、こういうジャンルミックスがすごい得意そうな作家だなあという印象を受けました。物は試しに一冊読んでみては?


[47] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/08/29(火) 02:09
『正解するマド』(乙野四方字)
愉快なのにゴリゴリのメタSFで意表を突かれた。
ノベライズが書けなくて苦しむ日常を描いた前半が好き。


[53] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/09/03(日) 00:45
『彼女たちはみな、若くして死んだ』(チャールズ・ボズウェル)
多くのミステリ作家・編集者たちから絶賛の声しか聞かないので面白そうと思って購入。期待通りにめちゃくちゃ面白い。内容が面白いのは勿論のこと、最高なのはその語り口。事実だけを淡々と物語るその口調が最高です。本当にノンフィクションなのか?と疑うほど読まされる珍事件の連続で「ミステリに変革をもたらした、現代にも通ずる不朽の犯罪実話集」という川出正樹さんの解説のタイトルがすべてを物語っている。「事実は小説よりも奇なり」を体現した犯罪ノンフィクション集。


[56] RE:2017年新刊感想 Name:I藤 Date:2017/09/09(土) 23:16
詠坂雄二『T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか』読み終わりました。
孤島に映画製作のロケハンに向かった六人が、次々と怪死を遂げていきます。そしてその一部始終は映像に残っているのです。
ノンフィクションの体裁で物語は進んでいくのですが、「前説」で、「本書が提示する犯人に伺いを立てた結果、出版の許可がいただけた」とあり、「その人物は現在も存命である」と言い切ってしまうのがなかなかユニークです。
そして、事件の真相は、なんというか、まっとうなものではありません。フェアな推理とか、そういうものではないです。
ミステリというよりかは名探偵小説と呼ぶのが正しいでしょう。
名探偵というものに対して小難しいことを考えるのが好きな人は読めばよいのではないでしょうか。

[57] RE:2017年新刊感想 Name:I藤 MAIL Date:2017/09/09(土) 23:34
柾木 政宗『NO推理、NO探偵?』読み終わりました。
第53回メフィスト賞受賞作です。
女子高生探偵・アイちゃんが催眠術で推理できなくなったところから物語は始まります。推理ができなくなったアイちゃんは、様々な手段で事件を解決していきます。最後に推理力を取り戻したアイちゃんが遭遇した事件を推理を用いて再検討していくのだが……、的な話です。
とりあえず、寒いギャグと文章の読みづらさが気になりすぎますが、こんな作品もあるんだという意味で、一読の価値はあります。ただし、肝心の推理があまり質が良くないのが何とも言えないです。これなら、推理が無い最初のパートの方がミステリとして面白いような……。
ここまでやり切ってメフィスト賞に投稿したことは評価できます。そんな作品です。

[61] RE:2017年新刊感想 Name:I藤 Date:2017/09/15(金) 02:30
二階堂黎人『巨大幽霊マンモス事件』読み終わりました。

ロシア革命後のシベリア奥地で<商隊>と呼ばれる一団が、二つの密室殺人に遭遇します。マンモスはおまけです。
「ロシア館の謎」(『ユリ迷宮』に収録)の続編となっており、こちらを先に読んでおく方がよいでしょう。

ふたつの密室トリックは、シンプルで秀逸です。特に二つ目は、THE・奇想。
ただし、個人的には明らかにアンフェアな部分があるので、皆さんの意見も聞きたいところです。


[68] RE:2017年新刊感想 Name:I藤 Date:2017/09/27(水) 20:53
市川憂人『ブルーローズは眠らない』読み終わりました。
今作では題の通り青いバラがテーマです。蔦で覆われた温室での密室殺人です。
密室が一度破られ、そして再び封されるのですが、その理由はなかなか良かったです。
大がかりな、しかし使い古されたあるネタがこの作品には仕込まれていますが、それはあんまりフェアではなかった気もします。

前作に比べて完成度は前作が上だなと個人的には感じました。しかし今年の新刊を読む上では外せないです。


[91] RE:2017年新刊感想 Name:o川 Date:2017/10/27(金) 11:42
『雪と毒杯』(エリス・ピーターズ)
期待しかなかったがその期待にたがわず面白かった。雪の山荘ものでオーソドックスな本格ミステリ、だけでなくコージーミステリ的な側面もある一冊。でっかいトリックが2つも使われていて、なかなか読みごたえがある。
雪を巧く利用したラストも面白い。



  



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